第11回 プリンタの解像度

皆さん、いよいよ暑い、あつ~い“夏”が到来したのであります。若者の季節“夏”なのであります。“祭だ!祭だぁ~い!”しかし、私ども五十に近づきつつあるおじさんらにとっては、工場の冷房にくしゃみし、はたまた外の日ざしにバテ気味と、いささか若き日がうらやましく思う季節でもあるのです。(ああ~、元気のイイ同世代のサザンの桑田ちゃんよ、あんたはえらい!)


そんな話はどうでもよいのですが、 今回は前回、 画像の解像度で終了してしまいましたので、その続きとして「プリンタの解像度」の話につなげていきたいと思います。どうぞよろしくおつき合いをお願いいたします。

【プリンタ解像度】
前回、プリンタの種類を5種類申し上げましたが、これは使用目的や価格グレード、対象ユーザーの業種など考慮せず、単純にその方式構造にて分類した物です。

さて今度は「解像度」を中心に考えて分類すると、「擬似階調方式」と「連続調方式」に分れます。写真というものはご存知のように、色の薄い部分濃い部分があり、これで“静物・風景・人物・絵”などを表現しています。これを階調といいますが、人の目はアナログなので写真の濃い薄いグラデーションは限りなく滑らかに見えなくてはなりません。
さてアナログの印画紙プリントの写真は滑らかで連続調子ですが、デジタルプリンタはその様には行きません。粉(トナー)にしろインキにしろ紙に付着する、付着しない、という表現しか出来ません。そこで小さな点や一定パターンで調子を再現します。これを擬似階調方式といい、《①インキジェットプリンタ》《②静電式カラーレーザープリンタ》 《⑤オフセット印刷》がこれに当ります。
一方連続階調プリンタの方ですが、デジタルプリントはデジタル画像と同じくに出力時に小さなドットで断続的な転写を行なうのですが、この出力ドット自体に濃い薄いの調子を持たせています。《③ピクトロ方式プリンタ》と《④昇華型転写プリンタ》がこれに当ります。

疑似階調方式の《①インキジェットプリンタ》の解像度
インキジェットプリンタ出力解像度は最高レベルで1440dpi~2880dpi位です。印刷で使用する画像解像度の300~400dpiに比べずいぶん細かいのですがこれには以下のような理由があります。

疑似階調と連続階調方式のプリンタのドットの違い
 A 図) 疑似階調方式
 B 図) 連続階調方式
疑似階調方式プリンタの階調表現二方式静電式カラーレーザーで一般的に使用される
パターンティザ法より、インキジェットでの誤差拡散法の方が写真表現には優れている
C-1 図)パターンティザ法
カラーレーザープリントの表面
C-2 図)誤差拡散法
インキジェットプリントの表面
 D 図

擬似階調方式はA図)のようにドット自身は付くか付かないだけで、濃淡は表現できません。ですからこれで調子再現するには点の数やパターン形状を変えて表現するのです。インキジェットの場合ではC-2)図のように点の量で明暗の調子を表現しています。ここで言う出力解像度とは1インチ当りの実際に紙に付くインキの粒の数の事ですが、画像の1画素の濃淡を表現するには、画像自身の解像度よりもっと細かな粒が必要になるわけです。D 図)
プリンタのカタログの解像度1440dpiとは、1インチ当たりに紙に付く粒(dot)の数です。ちなみにプリンタカタログの「1440×720dpi」と記されているのは、ヘッドの動く方向が1440dpi、紙の動く方向が720dpiということで、縦横の出力解像度が異なる事を示します。

連続調方式の《③ピクトロ方式プリンタ》の解像度
一方「ピクトログラフィー」や「熱昇華型プリンタ」はB 図)のように出力1ドットごとの階調表現が可能なので、インキジェットやレーザープリンタのような高解像度でなくても、奇麗な画像品質が得られます。 D 図)で示すように、プリンター解像度は300~400dpiで充分です。画像解像度もこのプリンタ解像度に合わせて出力するのがベストです。もし大きく出力したい場合には画像解像度をプリンタ解像度の1/2にするのが実用的です。

《⑤ オフセット印刷》の解像度
まずオフセット印刷は擬似階調方式としてはインキジェットプリンタなどとは異なります。E 図)の印刷物の写真を良く見ると小さな点が連なっているのは擬似階調なのですが、F 図)を見ていただくと分るように、この点を大きくしたり小さくして濃淡の調子を再現しております。これを網点といいまして規則正しく点が並んでおり、この整列した点の数を、紙により変更する訳です。新聞などでは整列した点のラインが1インチ当り70ライン、一般商業印刷では150~175ライン並んでいます。商業印刷ではラインとラインの間は0.14mmになりまして、一般商業印刷物の方がより細かく、新聞では見えた網点を、見えにくくしています。
これら網点の粗さ、細かさを「線数」といい、175線/インチとして表示します。
「線(Line)/インチ」:基本的にはこれも印刷物の解像度です。
さてこの大小の網点を出力する機械がレーザーセッターと言われるもので、当社ではレーザーで直接「PS版」(ハンコ)に画像形成するする「CTP」という方式を使用してます(G 図)。実はこれにも出力機にも解像度があります。要するに網点を形成する解像度ですね。「CTP」は2400dpiの細かさでレーザーを出力します。これも解像度が高ければ階調豊富にはなりますが、ある限界以上高くしても意味はありません。

E図)
印刷は網点というドットで表現されている
F図)左は印刷網点の拡大したもの整列した網点は絵柄により大きさが異なる
右はインキジェットプリントの拡大、細かな点の密集度が場所によりに違う
マトリックスで
形成された網点列
350dpi画像を175線印刷時の
網点形成の状態(拡大図)
350dpiの画像を175線/インチの印刷で出力した場合。1個の網点は4個のピクセルから成り立っている。ここで網点はさらに細かいレーザービームで照射されたドットにより形成されている。この際、1画素の階調は印刷の場合は256階調であり、これを表現する為の網点形成ドット数は16×16=256個のマトリックスでになる。 これを表現する為のレーザー出力解像度は16×175線/インチ=2800dpiが理想となる。
 G 図)印刷の「PS版」(ハンコ)の出力

【プリンタに対する画像データの解像度はいくら】
上記のように擬似階調プリンタや連続調プリンタなどがある訳ですが、では一体画像自身の解像度はどれくらいにすれば良いのでしょうか。印刷の場合は印刷の網点線数の2倍の画像解像度、つまり(175線/インチ)の印刷では(350dpi)あれば問題ないと言われています。網点ひとつを4個の画素で表現しているわけです。
画像解像度は高ければその分、高精細にはなりますが、ある解像度以上ではあまり効果なく、ただ容量と時間がかかり不効率になります。
一般のプリンタではどうでしょうか。印刷レベルの画像解像度(350dpi)があれば全く問題ありません。例えばエプソンのPMシリーズのプリンタ解像度は1440dpiですが、その1/4の画像解像度(360dpi)で充分、もっと大きくしたい場合は更に1/2で(180dpi)以下にならなければ、それ程は出力結果には大差はありません。画像解像度に対する実際のプリント寸法は下の表1)に示した通りです。
一方、ピクトロに代表される連続調プリンタでは、先ほども述べましたように、画像解像度をそのプリンタの解像度(300~400dpiが主)にマッチさせます。やはり1/2でもある程度は満足できます。

表1) 画像の各画素数の解像度によるプリントサイズ

規格名 画像/縦横
ピクセルサイズ
総画素数 画像解像度240dpiの場合 画像解像度180dpiの場合
プリント寸法 縦 プリント寸法 横 プリント寸法 縦 プリント寸法 横
XGA 768×1024pixl 79万画素 81.0mm 108.4mm 108.4mm 144.5mm
SXGA 1024×1280pixl 131万画素 108.4mm 135.5mm 144.5mm 180.6mm
UXGA 1200×1600pixl 192万画素 127.0mm 169.3mm 169.3mm 225.8mm
1536×2045pixl 315万画素 162.6mm 216.7mm 216.7mm 289.0mm
1704×2272pixl 387万画素 180.3mm 240.5mm 240.5mm 320.6mm
1920×2560pixl 492万画素 203.2mm 270.9mm 270.9mm 361.2mm
1944×2592pixl 504万画素 205.7mm 274.3mm 274.3mm 365.8mm

【出力時のプリントサイズとサイズ変更】
インキジェットプリンタの場合
以上の事が分かったら印刷する為に画像解像度を変更しましょう。画像処理のソフトは色々ありますが、ここではadobe社の「Photoshop」で話を進めます。このソフトMac、Winともそろっており、低価格版の「Photoshop Elements」では1万円強で購入できます。また「Photoshop Elements」が添付されているデジタルカメラもあります。

〈解像度を変えてサイズを決める。〉
まずファイルブラウザから画像を選び画像を開きます。この際、H 図)の様なメッセージが出てきた場合、インキジェット出力が目的なら編集をプルダウンしカラー設定を開き、設定を[Webコンテンツ作成用設定]にして開きましょう。(一般カメラ、プリンタはほとんどsRGBという色域を使用してます)I 図)

疑似階調方式プリンタの階調表現二方式
静電式カラーレーザーで一般的に使用されるパターンティザ法より、
インキジェットでの誤差拡散法の方が写真表現には優れている
 H 図)
 I 図)
 J 図)

開いたらイメージをプルダウンし画像解像度を開きJ 図)のように、“画像の再サンプル”のチェックをはずします。 解像度の覧に数値を入れて“OK”にします。大体カメラは72dpiが多いようです。
これを変えると瞬時にドキュメントのサイズで幅、高さの数値がかわるので、プリントの大きさを判断できます。

 K 図)

〈サイズ変更〉
この大きさではプリントが大きすぎる。L版で充分だとおっしゃる方は、そのまま解像度を大きくしていけば、ドキュメントの寸法が小さくなります。
ただ画像データ量は変らないので、出力効率をよくする為に画像自身を小さくするリサイズ方法もあります。
“画像の再サンプル”にチェックをいれ、上のピクセル数の単位を%にして値を入れます。K 図)
欲を言えば、ピクセル数が割切れる数字が望ましいのですが、絶対的なものではありません。単位を変えて%指定もできますし、ドキュメントサイズで印刷の寸法を指定する事もできます。
これで解像度は変らず寸法及び、データ自体が変更します。

 L 図)

〈プリンタの設定〉
各社プリンタドライバにより内容は異なりますが、用紙設定で紙サイズ。印刷設定で、プリンタ解像度を指定しましょう。
用紙設定から用紙サイズ、方向を指定します。

次に印刷設定で、用紙の種類を使用するペーパーの物で選びましょう。
プリンタの解像度ですが、これはエプソンPMシリーズの例を上げると、モードの“推奨設定”では最高解像度ではありません。一般ものでは問題ありませんが、高画質な写真を望むなら“詳細設定”にして〈現在の設定〉から“高精細”を選ぶか、または“設定変更”のダイアログで“スーパー”にチェックを入れれば、最高解像度で出力できます。M 図)

 M-1 図)
 M-2 図)

〈プリントプレビュー〉
「Photoshop」の便利な機能としてプリントプレビューがあります。出力前にプリントサイズ位置を確認できます。ここでも比率で%を指定したり、プリントサイズ合せて自動的に拡大縮小もできます。
プリンタの中には「用紙にフィット」なる項目で用紙サイズに合わせて印刷できるドライバもありますが、高画質写真を望む場合は「Photoshop」側でリサイズした方が、結果は良いと思います。

プリント拡縮小100%

プリントサイズを倍率で指定

プリントサイズに合わせる

以上プリントする為の解像度の内容を述べましたが、最近ではDP店でデジタルプリントが結構安価に出力出来るようになりました。「フロンティア」という機械が多いのですが、ずいぶんデジタル写真も手軽になってきましたね。

フォーサーズ規格カメラOlympus E-1

さてまたまた新製品のご紹介であります。
今回オリンパスよりレンズ交換式の一眼レフデジカメの登場です。
その名も「Olympus E-1」。
あ、そう、一眼デジカメの新製品最近多いねぇ、とあまり感激示さない方も多いかも知れませんが、実はこれ以前このサイトでも御紹介しました「フォーサーズ」という新規格始めてのデジタル一眼レフカメラでございます。
他メーカの一眼レフのように現状35mm一眼レフの規格をそのままデジタルカメラ化した物と違い、デジカメ本体からレンズまで全くの専用設計です。受像素子サイズは4/3型CCDでAPSより若干小さい17.3×13.0mmで500万画素。交換レンズ郡もズイコーレンズが5本用意されました。また、なんでもレンズ交換時に入り込むホコリをCCDに付着しない様に、超音波振動を利用したスーパーソニックウェーブフィルターが設置されているそうです。発売は10月だそうです。
このOlympus、Kodak、Fujiの「フォーサーズ」というデジタル一眼レフ専用統一規格、小型軽量のマウント、ボディという利点をうたって他2社からも発表になるのではと思います。

さて今回は、分かりにくいプリンタの解像度についてご説明申し上げました。
まだこれでも分らんゾィとおっしゃる方いらしゃるかも知れませんが、これ、ひとえに私の説明のいたならさ、ご勘弁していただきたく存じます。
実は色々な方々から、
(ほんとは社員で自分では何もせんと、色々聞きたがるおっさんが1名だけですが)
色々なご質問がございまして、
(といっても、色、いろ.イロの話なのですが)

イロイロ検討した結果、この中で「なぜモニターで見た色がプリンタで出ないんじゃ」と言う素朴な疑問に答えるべく、次回はプリンタのカラーマッチングについて述べたいと存じます。
では今回もご覧頂きありがとうございました。