第8回 デジカメが嫌になる暗~いお話 2

皆さんこんにちは、今年の浮き世の春、思いっきり桜満開でしたねぇ。そんな事を尻目に今回も「デジカメの嫌になる暗~いお話PARTⅡ」です。
こんなところ嫌だなと思う事じゃんじゃん述べちゃいます。

でも皆さん、デジカメの嫌なところといいながらも、技術は日々変りつつあります。今日感じた事は、新製品では当てはまらないかもしれません。またこのように対応したらどうでしょうかという事を考えていきます。これらを特徴として捕らえて、デジカメを使いましょう。本当にデジタルカメラが嫌にならないで下さいね。
では、まいりましょう

(いやなとこその四)
【電子ファインダーって奴は】
デジカメ背面に備わっている液晶モニタですが、これ便利、とても。でも頼り過ぎてこのモニターを見てスナップショットを捕らえると、時に失敗します。なぜなら液晶表示は画像処理して表示するので、実際の画像より微妙に時間がずれて、けしてリアルタイムに表示してくれないのです。
このような時は予備の光学ファインダーを使用しましょう。この方が構えが良くてカメラを固定でき、ブレませんものね。でも備わっていないカメラは困ります。それに日中の明るい所などは液晶では見えません。
さて、光学ファインダーの無いカメラで、レンズ交換は出来ないが一眼レフに近いハイエンドカメラがあります。(以下の写真)

これには光学式レンジファインダーがありません。しかしファインダーアイピースに目を当てるとそこは電子ビューファインダー(EVF)になっています。光学画像でないところが一眼レフとの違いです。実は三年ほど前にフジフィルムの“Finepix4900”というカメラを見た時すごく抵抗がありました。だってテレビの画面みたいだもの。
(映画ロボコップでのロボコップ自身の目にはこのように見えていた)
これで絵柄を確認するのかい。てぇことはこれはあくまでも補助ファインダー。外部の液晶モニタを頼りたくなりますよね。
今はかなり見やすくなっておりますが、あっしのような古りぃ奴にゃぁ、ちっとばかし愚痴も出ようってもんでござんす。覗くにはやっぱ明るい光学式じゃなくっちゃねぇ。
(ちょっと一言)ちなみに一眼レフの液晶ファインダーはリアルタイム表示はしません。あくまで撮影後の画像表示です。だから光学式ファインダーがメイン。だって読んだとおり一眼だもの。

一眼レフに近いコンパクトハイエンドカメラの各機種


OLYMPUS E-20:
このカメラのみファインダーは一眼レフと同様の光学式です。オリンパスのフラッグシップ機だけの事はありファインダーを覗いた感じは実にきれいです。
Nikon CoolPix5700
Fuji FinePix s602
ミノルタ Dimage 7Hi
Sony Cyber-shot DSC-F717
パナソニックLUMIX DMC-FZ1

ミノルタ Dimage 7HiとFuji FinePix s602の背面
背面パネルに液晶モニタ、その上部に電子ビューファインダー(EVF)が備わっており、切り換えて使用します。撮像素子からの信号をリアルタイムで表示するのは他のコンパクトカメラの背面の液晶モニタと同じ。

(いやなとこその五)
【カッコウが変】
デジタルカメラのスタイルだけど、どうもカメラらしくないなぁ~。と思うのは太田原がかなり古いおじさんだからでしょうか。そう、ものを見るとカメラなのかMDウォークマンなのか、シガレットケースなのか、弁当箱の小さくしたような……よう分からんです。
でもこの自由な形でデザインできる事がデジカメのすばらしいところ。ポケットに入るような小型で高性能のカメラが設計できるのです。スパイラルボディなんて昔は考えられなかったですものね。なんたってカラーも豊富でスタイルのかわいらしさは女の子には受けると思います。

スタイリッシュな各社のデジタルカメラ(太田原表現ではおかしな格好のカメラ)
スパイラルボディのNikon CoolPix SQとCoolPix 4500

クレドールに
おさまった
CoolPix SQ
携帯性とレンズ性能を両立する為に
ボディ自身を回転式にしたデザイン

ボディ上面に
レンズを向ける
フジフィルムのFinePixF601とM603
ウィスキーポケット瓶かシガレットケースかと思うような縦型デザイン。思ったより持ちやすかったですが、滑って落としそうになった。
M603は動画もお得意

カラフルかつコンパクトボディの各新型機種


ミノルタ DiMAGE Xt

Sony Cyber-shot DSC- P8

Sony Cyber-shot DSC-U-20
300度回転するスパイラル式
レンズがユニークな
Sony Cyber-shot DSC-F77
ほんとに小型軽量薄型ボディの
PENTAX Optio S

レンズの光軸を平行にずらして収納するという今までの常識では考えらない方法により薄型ボディを可能にしてます。

レンズがボディより前に繰出ない薄型ボディのサンヨーDSC-J1ザクティ

ミノルタ DiMAGE Xtと同じプリズムを使い
ボディと平行に配置したインナーズームが特徴
ボディよりレンズの方が大きいまさしくレンズ付きCCD
片手で操作できるのかな

Sony Cyber-shot DSC-F717

最近の撮影スタイルです。
デジカメのユニークなデザインと共に機能的なのが液晶モニタのフレキシブルさ、自由自在に動かせて無理なアングルを可能にします。
Nikon CoolPix5700
Nikon CoolPix5000
PENTAX Optio 33L

ただ時として自由度があまりに高くて、シャッターボタンが押しにくいカメラもあります。
撮る姿勢も最近は変りまして、カメラを構える姿勢から腕を突き出して撮影をされる方の姿を多く見かけるようになりました。シャッターボタンの位置が悪かったりすると、この姿勢での撮影ではカメラが軽量なだけに、ブレるなんて事にもならないでしょうかねぇ。

(いやなところその六)
【白トビが嫌だ】
女の人を撮ったら顔がただ白いだけのベタ顔になっちゃった。
女性を撮影したところ、顔が真っ白になっちゃった。それだけならいいけど、どれが鼻でどれが頬なのか分からんという事ありませんか。まあ昔、TVでやたら白く写り、「美白の女王」という方いらっしゃいましたが、これは別としてあまり感じの良いものではありません。私どもの業界では「調子がなくなっている」とか、「ライトが飛んでいる」「白トビ」などと表現します。これはなにも女性だけの事ではありませんし、デジタルカメラに限った事ではなく、単純に部分的露出オーバーという事です。ストロボ発光をもろに受けた場合などに良く起こります。
写真の白トビ部分はキャッチライトといい、被写体のテカッている部分です。被写体によっては光っているところはありますが、キャッチライト面積が必要以上に多い場合は気になります。
ハイライト側の白飛びはフィルムでもおきますが、デジタルの場合はその飛び方が嫌みです。ある部分から一気に飛びます。やはりデジタルなのですね。フィルムの方が同じ飛ぶのも滑らかな感じです。ですからスキャナでフィルムの写真を入力する時は、入力のセッテイングである程度素直に写真を表現する事ができます。
写真1の女性(この人私の同級生)これはやはり飛び気味で頬や額にキャッチライト部分が多く見られ階調がありません。これはストロボ光をもろに浴びたからですね。デジタルカメラはハイライトの調子再現があまり得意でないようです。私たち印刷人としましては何とか補整しようとします。通常Adobe社の「Photoshop」というソフトを使用して補整し、何とかテカリを押え、顔の表情の調子をだそうとします。これが女性写真2です。


写真1


写真2
Adobe社の画像処理ソフト「Photoshop」を使って、ハイライト側の調子を引き出す際に時々使用する方法
元の画像よりレイヤーを複製コピーし、レイヤースタイルのブレンド条件を調整します。
オプションキーにて▲マークを分割させないとジャンプがおきるので注意
すべてがこの方法でうまく行く訳ではありません。かすかに存在するハイライト側の調子を無理矢理引っ張り出すので、かえって逆効果の場合もありますが、救える場合もあります。
人物よりも静物や建物の壁などに使用する事が多い様です。

さらに調子のある有効なチャンネルからマスクを作成、このマスクに手を加えライト側以外の必要の無い部分を隠します。
これによりコピーレイヤーのハイライト側のみを乗算させるようにしてハイライトの調子を引き出します。

ところで最初から飛んでいるところはどうしようもありません。デジタルデータは通常1チャンネルが8bit(2の8乗で256階調)で記録されますが、キャッチライト部はデータ数値の上限に来ており調整不可能なところなのです。
下の写真を見てください。このおじさん達は私の大学時代の悪友でして、以前秋葉原で飲んで帰る時の写真です。良い気持ちで酔っ払っておりますが顔がブッ飛んでおり、赤ら顔が見えない代りに顔が真っ白で真平ら、こうなるとどうにも救いようがありません。しょせん救いようのない連中ですから、私の方も修整するつもりも有りませんが。

【デジカメ君ここで一言】
再び僕の登場。確かにハイライト側の飛びは気になるところ。でも多くは露出の問題でデジタルカメラの方がフィルムに比べ反応がシビアですね。逆にシャドー側の方は調子を出しやすいといえるよ。
通常のネガフィルムはプリント焼きの時に調整してある程度は補えるけど。プロビア等ポジタイプのリバーサルのフィルムになるとやはり露出には結構正確さが必要になるのだ。
いずれにしてもフラッシュ撮影の時などは、光をバウンズさせて自然な感じにするとか、自動露出も露出補整というメニューがあるので、これで目的の被写体がオーバー目になりそうな時にはEV値をマイナスに補正にして撮りましょう。何でも自動に任せずにコントロールするのが腕というもんだ。あ!言っちゃった。
ここで便利な機能もありますよ。カメラの液晶ファインダーに撮影後のヒストグラムといって露光状態の表示や、白飛びの具合を警告してくれるカメラもありますから、これを見て写真の状態を直ぐ判断できます。また撮影前にリアルタイムでヒストグラムを表示するミノルタの「ディマージュ7Hi」など、親切なカメラだよ。この当りすばやく教えてくれる事もデジタルカメラのメリットだもんね。

img01
img02
カメラの液晶ファインダーで
撮影画像の確認
白トビ警告とヒストグラム表示により露出を知ることができます。
外部ストロボを使用する時は、発光源を上向にするバウンズ露光なる方法で、白トビを避けることもできま

(いやなところその七)
【ラチチュードは案外狭い?露出設定は正確にしなくていけない。】
例えば白から黒までを写真として表現する事、いわゆる階調再現ですが、この最大最小の範囲を「ダイナミックレンジ」といいます。デジタルカメラとリバーサルフィルムは数値的にはほぼ同等ではないでしょうか。
ただきわめて人間的などのようにきれいに表現するか、という階調再現性となるとデジカメはアナログと違い階段状に表現するので不利ではないかと思います。前でも述べましたように特にハイライト側に良く見られる調子の飽和はいただけません。印刷物で淡いグラデーションの場合など補整に苦労する事もあります。
ですので、露出オーバー気味の場合は補整が厳しくなります。撮影はオーバーよりアンダー気味の方が救われるのです。人間って暗い方はあまり気にしないのですよ。
結果的に露出はシビアに正確でという事になります。実質的にラチチュードは案外狭いという事なのです。「ラチチュード」とは写真で言うダイナミックレンジと思って下さい。一枚の写真に明るい暗いがあると両方とも真っ黒にツブレ、真っ白で平らで飛んでしまいます。これを「ラチチュードが狭い」などと言います。

【デジカメ君】
え~解説します解説します。
「ラチチュード」を補う方法ですねぇ。良くやる方法はカメラの露出補整機能を使用して明るい暗いの2カットを撮ります。これをパソコンでのPhotoshop等の画像処理ソフトでレイヤーで重ねて必要な部分だけをマスクやブラシで出していく方法。
でもこれは静止画撮影、しかも後処理ですね。
ところがこんな事しなくて撮影時にうまく処理しちゃう僕らの仲間がいるんですよ。サンヨーさんはすごい事やってくれます。
サンヨー「DCS-MZ3」という210万画素のカメラは”ワイドレンジショット”と言って同時に明暗2枚の画像を取込みカメラ内で合成処理を行い、白トビ黒ツブレを押さえるという訳。え!サンヨーって家電メーカーでしょ。と思うかもしれませんが、動画取り込みが特徴のサンヨーさんのカメラ。結構良い製品出ていますよ。画質も機能もそこそこで添付されたソフトも親切なのね。
しかしフジフィルムさんも実に頭良い事考えてくれます。フジフィルムは以前よりハニカムCCDと言って、素子を正方配列から45度傾けて八角形配列し、CCD素子数以上に水平垂直方向の画素数を稼ごうというユニークなCCDを使っています。今度は「スーパーCCDハニカムSR」と言って大小の素子をうまく使いダイナミックレンジを広げた物を開発しました。今回新登場の「FinePixF700」に装備されるそうです。

ダイナミックレンジを広げる為のパソコンやカメラでの画像処理法
レンジの異なる二種類の画像を合成する事により、ライトからシャドーまでの調子を確保する。

明るい画像

暗い画像

階調領域の広くなった画像
サンヨーDSC-MZ3
ワイドレンジショットという処理を持つ
発売が予定されている新型のスーパーCCDハニカムSR搭載のフジ FinePix-F700
フジフィルムの第四世代スーパーCCDハニカムの原理、なんでもネガフィルムからの発想なんだって、撮像素子の構造に注目。二種類の素子からのデータより階調領域を広げています。

(いやなところその八)
【借りてきたデジカメ、マニュアルも借りないと使い方が分からん。】
デジタルカメラはデザインだけでなく機能、操作系も自由度があり、各メーカーによって結構個性的に設計されております。この為ちょっと人から借りてきたデジタルカメラは、「あれ、こいつ露出補整どこにあんの?」とか
「絞り優先になってるのかなぁ、絞りはどれ、う~んわからん“Pモード”にしようっと。あぁ、モードダイヤルはどれだ。」とか
簡単な話シャッターボタンもわからなかったりして(私はFujiの“FinePixM603”を触れた時シャッターが分からず恥をかいた)戸惑う事もあるのではないでしょうか。カメラにかぎらず電話やカーナビなど最近の物はメニュー表示も選択していくツリー構造のため、機能が直ぐに見えないのですね。なれてくればどのカメラも基本的な機能はそれ程変わらないので、戸惑いも少ないでしょうが。
まあ各操作が機種により異なるのはその分機能が増えてきたという事でしょうか。前述のサンヨー「DCS-MZ3」は操作が迷わないように、ただ撮る人にはベーシックとそれ以上を望む方にはエキスパートのメニュー切換えがついている物もあり、それなりの工夫はメーカーさんしてくれております。
面倒くさがりやでマニュアルも読まず、携帯の使い方が分からん様な私めに貸す時は、当然ベーシックにしてから貸しましょうね。

さて今回はこのくらいにしまして、また次回に致します。今回もご覧いただきありがとうございました。