
さて皆さん今年の暑~い夏から一転、秋も本番といったところいかがお過ごしでしょうか。
太田原は今年の夏の猛暑はシュノーケリングを大いに楽しみまして、というか、満喫し過ぎでそれが影響してか、このデジカメ読本3回目が遅れてしまい、深くおわび致します。
さて今回よりデジタルカメラの構造について2回にわたり、お付き合い願いたいと思います。
そこでごく簡単な質問、デジタルカメラのカタログ仕様に○○万画素ってあるけど、これって何でしょうか。
先ずはその前に簡単なカメラの仕組について。
自動車が発明された頃のT型フォードも最新型のフェアレディも、4つのゴムタイヤを回転させて路面を走る事ではしくみは同じで、ここ何十年変っていません。これと同じでデジタルカメラもフィルムのカメラも基本的な構造はみな同じです。
A図、B図の様に光をレンズに通して結像させる。この間には光量を調整する絞りや、光を制御するシャッターがあります。違うのは画像が写る受光面が異なるという事で、皆さんご承知のとおり写真としての記録が、かたやフィルム、そしてもう一方がデジタル処理による電子的記録法、つまりコンピュータ処理なのでありますねぇ。
これって飛行機でたとえると機体翼の流体力学で空を飛ぶ原理は同じだけど、プロペラレシプロ機からジェット機に進化した様に、エンジンが入れ替わった事で機体構造も変り、飛躍的に性能が上がった事に似ていませんか。大変な技術革新だと個人的に思うのですが、ちょっと例題が飛躍し過ぎたかな。


フィルムの場合は化学的処理の現像により絵を見る事ができる事はご承知の通りです。ネガ、ポジともフィルムは薄いベースに感光性の乳剤が塗られている訳ですが、撮影するとカメラのレンズを通して光が入ります。この露光によりフィルムに絵が焼き付けられ、その後の現像でフィルム上に色が表われてきます。




デジタルカメラの場合は受光面に映し出された画像を直接電気信号に変え、その後LSIなどで処理し、画像ファイルとしてメディアに保存されます。
ここでフィルムに代り登場するのが、光を電気信号に変えるCCD(Charge Coupled Deviceの略)と言われる電荷結合素子です。これはフォトダイオードでして、D図のようにシリコンチップ上に小さな感光素子が面状にならべてある平面センサーです。
最近ではCCDではなくCMOSという素子を使用するメーカーもありますが、やはりCCDが多いようです。
このCCDからの電気量(アナログ)は一時的に蓄積され、その後信号処理回路に転送し、読込ませた後デジタル信号に変換(AD変換)、画像記録データへと信号処理回路を通じてデジタル変換が行なわれていき、モニター表示したり、メディアに記録されていきます。
この処理には、とても重要なホワイトバランスとか色分解、モニタ表示するガンマ変換、圧縮処理などがあります。まあ早い話、デジカメの小さなボディの中は、フィルムカメラと比べ物にならないくらいに、処理装置がいっぱいあって、一つのコンピューターなのですね。

D図はデジタルカメラのCCDです。平面状のチップに碁盤の目のような格子状に並んだ多数の画素から出来ています。(トンボの目みたいに複眼なのですね。)これに光があたると半導体内に電子と正孔が発生、電子は電極に引きよせられ、蓄積されます。この電子は隣りの画素の電極の下に次々と転送され、読み出し装置で順番に電子数が電圧として読取られます。この電子数が光の強さを表わす事になります。これが画像を作る電子信号という訳です。
さてレンズを通って受光面に絵を写すところまでは、基本的にフィルムカメラと変わらず、通常カメラのフィルムに相当するCCDが、デジタルカメラの重要なところ、そしてこの撮象した画像データの品質と大きさ、またその処理内容がポイントである事は、お分かり頂いたと思います。 そこで冒頭の何万画素というお話になってまいります。
CCDの説明でお分かりかと思いますが、デジタル画像という物はフィルムがアトランダムの小さな粒子で出来ているのに対し、CCDからの電気信号によって作られた碁盤の目状の四角なピクセル(画素)が並んで成り立っています。
デジタル画像をパソコンで拡大していくと、写真の様なモザイクになっている事が分かります。 デジタルカメラのカタログ仕様で必ず出て来る、「300万画素」などという言葉はこのピクセル(画素)の総数にあたります。
例えば413万画素のデジタルカメラでは、このモザイクが縦1734個、横2384個で単純に乗算して面積計算したものが413万という事になります。つまり画素数は、写真サイズそのもので、その情報量により保存画像データ容量も変わります。



下の【表1】にデジタルカメラの主要画素数を明記しました。
ここでの印刷寸法は350dpiで印刷会社で印刷した場合の寸法です。
【表2】はモニタの解像度です。
これはモニタがどれだけの情報を表示できるかを示すもので、ドット数が大きくなれば広いエリアが表示できます。その代わり同じ17インチモニタならその分、表示文字などは小さくなります。Windowsでは画面のプロパティ内のディスプレイの精細で、Macはコントロールパネル内のモニタで、それぞれ変更できます。
もしデジタルカメラの解像度指定の中でXGA(79万画素)を選んで撮影し、自分のパソコンのモニタ解像度を1024×768ドットにしてこの画像を背景に指定すると、そのままの絵が表示されます。192万画素での撮影では、モニタでは入りきれなくなります。これを頭に入れておけば、Webなどで見る画像がどの程度の画素数か、ある程度の目安になるかと思います。

MACでのモニター
解像度変更画面

Winでのモニター
解像度変更画面

Canon EOS-1D
ところで一般的に画素数の高いカメラが高級高価格機に近いので、画像品質が良いように思われがちですが、決してこの画素数が高いから、品質が良いという訳でなく、画像品質はもっと別な複雑な要素(レンズ、データ処理のソフトハード能力、CCD自体の性能、使用感、システム、その他)により左右されるということです。
確かに画素数が多ければ解像面では有利ですが、色合い調子シャープさなどの複合的要素も評価のうちです。

Canon PowerShotG2
極端な例ですが、“Canon EOS-1D”というプロ用のカメラは415万画素、かたやハイエンドアマチュア用カメラ“Canon PowerShotG2”は400万画素、解像度など品質的には“Canon PowerShotG2”も評判は良いのですが、同じ画素数でもやはりプロ機にはかないません。価格だってプロ用はボディだけで約75万、“Canon PowerShotG2”は全部で約11.5万円、カメラ本体もレンズ、画像処理なども、カメラとしての位置感、ランクが異なるので、評価する方が間違いかも知れませんが、要は画素数だけで品質評価できるほど単純なものではないと言う事です。
今年の日韓ワールドカップですが、スポーツカメラマンが雨中持っていたカメラ、“Canon EOS-1D”多かったように思いますねがねぇ。気がつきましたか?
なに!世界の一流プレーヤーのワールドチームなんて、めったに見られない。その試合が1日3回もあるんだ。カメラなんか見てられるか!おまえはどこ見てんだ!
ハイ、すいませんでした。
カメラカタログに「2/3型524万画素CCDを搭載」とか「35mm判換算で34mm~102mm」と記入されている項目にお気づきの方もあると思います。これはカメラの撮像面積に関係する事です。
(1)
前者「2/3型」はフィルムカメラで言えば35mm版とかAPS版とか、ブロニー版、或いは4×5インチ版、撮影面積がそれぞれ違うフィルムの様に、デジタルカメラではCCD面積サイズの事をいいます。2/3型は対角線が2/3インチ=16mmの大きさになります。ただしこの寸法はCCD以前の撮像管の表示方式で真空管の直径を示しています。実際の撮像面の対角線はもっと小さくなります。
【表3】にコンシューマ機でよく使用される物と一眼レフタイプの物ををならべました。
CCDは高いクオリティを要求され、開発製造コストもかかります。ですから一部のプロ用一眼レフカメラを除き、各メーカーは、特に一般コンシューマ機の場合、ある会社の製造するCCDを使用している事が多く、カメラメーカーが異なってもCCDサイズ、種類も同一のケースが多いのが現状です。でもCCDが同じだからといって、A社とB社で全く同じように写る訳じゃないのですよ。カメラ内での後処理するソフトによっても画質が変るのですね。
(2)
次に「35mm判換算で○○mm~○○mm」の意味なのですが、「35mmフィルム使用カメラの画角に換算する」と「○○mm~○○mmの焦点距離ズームレンズに相当します。」という事です。
標準レンズは画角40°前後なので撮影フィルム判の対角線寸法近くです。35mm判は約50mmです。当然フィルムサイズにより標準レンズは、ブロニー中判カメラが105mm近辺、4×5判では150mm以上になります。
で、デジタルカメラはというと、F図にあるようにCCD対角線寸法はかなり小さいので、当然標準レンズは10mm程度ですが、CCDサイズはもっかカメラによってさまざま、ですから焦点距離もいろいろでとり揃う事に、なっちゃったのです。そこで最もなじみの深い35mmフィルムのカメラを基準にして表わせば、皆さんが分かりやすかろうと、この表示が登場した訳です。
ちなみにプロ用35mm一眼レフシステムカメラでもF図にあるようにCCDサイズは通常APSフィルムサイズ(16.7×30.2mm)より小さいのです。ですからCCD専用でない広角として設計されたレンズも標準になってしまうのですね。
う~ん、ちょっと広角側の効果も、長焦点でのボケ味も失われ、ザ・ン・ネ・ン……かな。このために、長焦点のボケ味をデジタルカメラで表現できるように、わざわざボケ味を作るソフト市場に出てきたくらいです。
でも、コダックの”KodakDCSプロバック645”という1600万画素のブロニー判プロカメラに付けるデジタルカメラでさえ、CCDサイズは6×6cmでなく37mm×37mmなのです。
CCDは小さいのだ。
ここで注目のコメント)
最近でたぁ!(お化けじゃない~つぅの)コンタックスの”NDIGITAL”はとうとうCCDサイズ36×24mmのフルサイズを実現!やったねぇ。
などと言っているうちに、キヤノンが“Canon EOS-1Ds”という名称でフルサイズが発表されました。続いてコダックからもNikonベースの1眼レフが発表になるとの話もあります。
デジタル一眼レフの世界もすごいですね。
●CCDとフィルムの撮影面積寸法

●CCDサイズと品質
アマチュア用コンシューマ機と1眼レフタイプのCCDの面積サイズですが、F図にあるように、1眼レフタイプの方が大きい物を装着しております。前にも述べましたように、画素数だけが画像品質を決めるものではありません。むしろ画素数よりもCCDの面積寸法が重要なのです。例えば、一般アマチュア用の最新型高級機“SONYサイバーショットDSC-F707”と、1眼レフタイプの“NikonD1xは”、同じ500万画素クラスですがCCDサイズは、かたや8mm四方、一方のD1xは長辺が23mmもあります。という事は、CCD中の一個づつの素子(セル)の大きさは“D1x”の方が、当然大きい事になります。セルが大きいという事は、その分多くの光量を取り入れる事になり画質、特に描写力優る事になります。G図参照
画像データが同じ情報量を持っていても、その写真はハイライトの白飛び、シャドーのつぶれなどにも差が出てきます。また感度の面でも差が現れます。
まぁプロや目の肥えたアマチュアの人たちの厳しい要求にこたえる様、一眼レフタイプは高い完成度を持ったメーカー独自の受光素子を、研究開発し装着しているのです。
G)



さて、だんだん込み入った話になってきたところで、今回はここまでといたします。
で、アマチュア機(コンシューマ機)とプロ機のお話しが出てきたところで、次回はもう少しその違いについてお話ししましょう。それからCCDのカラー表現について。
「またぁ、“トンボ”の目玉の話ばっかしやがって」
とお怒りの方いらっしゃるかもしれませんが、写真の“か・い・ぞ・う・ど”解像度も理解しちゃいましょうね。
じゃ、よろし~く。